京都支部主催 事例報告会報告

10月20日、京都教育大学にて、支部主催の事例報告会を開催いたしました。

参加者の皆様と、次の2つの事例について共有し、日々の臨床に活かすヒントを探りました。

 

・事例1 「重度の障がいのあるお子さんの笑顔を求めて、そして育ち

-Aさんへの関わりから-」

発表者:北沢 喜晴氏(重症心身障がい児デイサービス ヴィオ)

コメンテーター:亀口 公一氏(アジ-ル舎)

・事例2 「保育士養成校における実習担当教員に対するコンサルテーションのあり方

-修学困難学生に対する学生支援と危機管理の観点から-」

発表者:遠藤 美行氏(京都西山短期大学)

コメンテーター:安田 志津香氏(大阪成蹊短期大学)

 

事例1では、重症心身障がいがある子どもの放課後等デイサービスにおいて、Aさんとの関わりや支援を通して見えてきた、事業所としての役割や成果についてお話ししていただきました。四季を感じることができる取り組みの中で、様々な工夫を実践されている様子が紹介されました。丁寧なアセスメントの視点を通して、生活全般を含めた体調管理を行う大切さ、家族を含めた支援の必要性などについて、フロアと意見交換がなされました。スクリーンからはAさんの楽しそうな表情が伝わってきました。また、職員の方もAさんと一緒に、その時間を共有されている雰囲気が伝わってきて、改めて、家庭や学校とは、また違った場所で“その人らしく”過ごすことの意義について考えさせられる内容でした。

事例2では、保育士養成課程での資格取得に向け、多様な学生の特性を踏まえながら要支援学生への理解と指導、その2つを同時に行っていく難しさと、現状についてお話ししていただきました。保育士資格が対人援助職という性質をもっているため、その指導者へのコンサルテーションにも様々な問題が絡んでくるという難しさがひしひしと伝わってきました。ユーモアを交えながら様々な事例を挙げていただき、指導に対する葛藤や支援の難しさについて、当事者と参加者が思いを共有しながら意見交換をすることができました。なかなか答えは見つかりませんが、一緒に手探りしながら、この問題について考えていこうという動きが生まれたのではないでしょうか。

時間が短い中での事例報告会となりましたが、様々な分野で活躍する臨床発達心理士が、それぞれの専門性を活かし、より良い支援に向けて連携していくためのきっかけづくりができるよう、今後も研修内容の充実を検討していきます。