10月6日の事例報告会の報告

10月6日(日)、京都教育大学にて、支部主催の事例報告会を開催いたしました。
 今回は他支部の方からも多数申し込みがあり、発表者、コメンテーターやスタッフを入れると、事例報告会としては最も多い85名の参加がありました。
  会場が狭く、参加していただいた方にはご迷惑をおかけし、申し訳ありませんでした。今回の反省をもとに改善していきたいと思っています。
 当日は、参加者の皆様と次の2つの事例について共有しました。


・事例1 「読み書き障害の疑いが見られる小2児童への支援」
発表者:中路 紀子氏(飛騨市発達支援センター 心理・検査室)
コメンテーター:赤尾 依子氏(大阪医科大学 小児科学 非常勤講師)
事例2 「知的な遅れがない(少ない)ASDの小中学生への“カウンセリング” (意思決定・コミュニケーション支援)の取り組み」      
発表者:灘 明日香氏(京都市発達障害者支援センターかがやき)      
コメンテーター:中野 由美氏(京都造形芸術大学 保健センター)

 
 事例1ではASDの診断を受け、漢字習得に難しさがある児童の事例をご紹介いただき、今困っていることからどのように今後の具体的な支援につないでいくのかを検討しました。生育歴や学習面、検査の結果など、得られた情報を整理し、丁寧にアセスメントを行っていくことで、どのような見立てができるのか、参加者も一緒に考えながら話を聴くことができたのではないでしょうか。何が要因となっての書字障害なのか、どのような特性があるのかを見極め、その特性に応じた支援をうまく取り入れることで、本人の学びの意欲を引き出す可能性が広がることを学びました。
 また書字についてのアプリや教材など、具体的な支援ツールの他、“自分のオリジナルの漢字ノートを作る”といった方法などもご紹介いただき、日々の実践に生かすことができる情報も得ることができたのではないかと思います。


 事例2では、最初に発達障害者支援センター「かがやき」の位置づけや事業内容を説明していただき、保護者支援プログラムのねらいをより詳しく理解できました。  その後、ASDの診断を受けた小学生と中学生の事例をご紹介いただき、コミュニケーションや想像力の難しさを抱える人達が、主体的に活動参加や相談を行っていくためには、説明や意思決定支援にどのような工夫が必要であるのか、支援プロセスを丁寧にご説明していただきました。その中に“保護者が希望することと、子どもが希望することは違う”という言葉があり、ハッとさせられた参加者も多かったのではないでしょうか。保護者、本人、支援者、それぞれの思いやイメージを丁寧にすり合わせ、共通の認識をもって支援を進めていくことの大切さを改めて感じました。
 また、大学での障害支援の現状から、自分の苦手なところだけでなく、得意なところも含めた自己理解の促進が、困った時などに主体的に自分の思いを表出できる力につながっていくことをお話いただきました。青年期を見据え、児童期における支援では何が大切になってくるのか、そのためにはどのような工夫が必要なのか、生涯発達の視点も含めて検討することができました。